別れの挨拶を英語では「グッド・バイ」という。つまり、神様が貴方の側にいて、お護り下さいますようにというはっきりした意味がある。
では、日本語の「さようなら」は、どんな意味があるのか。
茶道の家元からのEメールには、最後に「さようなら、ご機嫌よう」とあった。
「日本」という国名と日章旗という国旗は、共に「日」、つまり太陽を意味することからきている。
今は死語になってしまったが、かつては「お天道様(おてんとうさま)」と呼ばれ、太陽を畏れ感謝するように父母から教わったものです。朝、東方を向いて拍手(かしわで)を打ち、日の出に頭を下げていた姿を思い出す。大自然に感謝し、自分の人生を充実させようとしていたのでしょう。
明治の頃迄は、太陽のことを「今日様(こんにちさま)」と呼んでいたようです。太陽のエネルギーを頂き、今日も元気(気の元)でいられるわけだから。
このようにみてくると、「今日は、お元気ですか」という挨拶はスッキリとしてくる。
返事は「はい、お蔭様で元気です」「さようなら(ば)ご機嫌よう」となる。機嫌とは気持ちというような意味となる。
先のお家元のEメールの最後の一行や、私達が毎日使っている挨拶には、さようなら(ば)の(ば)が抜けている。あゝよかった、それならば良いご気分でお過ごし下さい。またお逢いしましょう。See you again.で、ドイツ語もフランス語も同じである。
昨今、日本語が乱れ、造語が生まれては消えてゆくのを見聞するにつけ、「さようなら、ご機嫌よう」の美しさに日本文化の素晴らしさを見るのは私だけではあるまい。