体罰問題に思う。
日本スポーツ界はいま体罰問題に揺れているようだ。
この問題を考えるとき、スポーツ関係者は次の事実を想起すべきであろう。
それは1952年5月19日、日本人として初めて白井義男が世界フライ級チャンピオンとなった事実だ。
それがなぜ、体罰問題と関係するのか。
当時、日本ボクシング界の練習の現場は現在、問題視されている厳しい上下関係による体罰的な指導が日常茶飯事であったとされる。
しかし、GHQ職員として来日していた生物学者カーンは、偶然目にした日本人ボクサー白井の才能を見抜き、個人的に彼の指導に当たった。
それは、栄養学も含めた科学的、合理的な練習法に終始し、日本ボクシング界の指導法とは全く相容れないスタイルだった。
当然、多くの批判や疑問の声があった。
しかし、白井は日本チャンピオンとなり、世界王者にも君臨した。
60年も前の出来事である。
この歴史的快挙が持つ意味を教育、スポーツ関係者は噛みしめるべきである。
(豊水「すこーれ」より)