「したたかな善意」
人と人との信頼は、善意と善意が触れ合うことで醸成される。
しかし、複雑な世の中にあって善意でなされる行為が有難迷惑のことも少なくない。
なかには、善意と言い切れない仕打ちに会い傷つけられることもある。
潔癖な人や生真面目な人ほど、そんな折、相手に背信感情を持ちやすい。
例えばビジネスの世界では、キツネとタヌキの化かし合いにも似た権謀術数が渦巻くことも多いと聞く。
しかし、通常の人間関係では敢えて、善意に生きるほうが実り多い人生を得られるものだ。
ただ、それには強い善意、したたかな善意でなければならない。
若干の手違いや裏切りにも上手に対処できる知恵豊かな善意でもなければならない。
他人への善意のスケールを広げ、どんな場合にも巧に付き合う工夫を忘れない善意であってこそ良き仲間、友人に恵まれた人生を歩むことができる。
(豊水、「すこーれ」より)